そろばんを学ぶことで数字に対する苦手意識を克服したり、考え方の鍛錬につながったりすると言われています。
子どもたちの成長に大きく関わるそろばん教室を開業するためには、何が必要なのでしょうか。
本記事では、そろばん教室の開業に必要なものや、安定した経営を行うためのコツについてご紹介します。
そろばん教室が必要とされる背景とは
近年では電卓やスマホが普及していることから、そろばんの取り扱い方やスキルは必要ないと考える方がいると思います。
しかし、そろばんは数字そのものに関する苦手意識を取り除いたり、思考力を鍛えたりする際に良い影響を与えます。
そろばんは右脳と左脳の両方が鍛えられるため、日常生活で使う暗算能力や思考力の向上が期待できます。
そのため、子どもだけではなく社会人の方でも、そろばんを改めて学ぼうと考える方がいらっしゃるものです。
そろばん教室の開業に必要な資格
結論として、そろばん教室で指導を行うために必要な資格はありません。
しかし、そろばんに関する下記のような試験を受験し、高得点や段位を取得しておくことで生徒や親御さんへの信頼度が上がったり、集客・指導がしやすかったりします。
珠算検定試験
珠算検定試験は日本珠算連盟が開催している、学習意欲の増進や能力向上などを目的として開催されている試験です。
15級から1級までの級位試験と、準初段から十段までの段位試験に分かれています。
暗算検定試験
暗算検定試験も日本珠算連盟が開催している試験で、学習や日常生活だけではなく、ビジネスシーンにおいても役立つ暗算能力の向上を目的としています。
10級から1級までの級位試験と、準初段から十段までの段位試験に分かれています。
そろばん教室を開業するまでの流れ
こちらでは、そろばん教室を開業するまでの流れをご紹介します。
1. 開業するそろばん教室のイメージを固める
そろばん教室を開業する際には、経営方針やターゲットといった、どのような教室にしたいのかといったイメージを構築します。
授業の形態はマンツーマンなのか、集団で行う場合は1教室あたりの人数などを、初期の段階で考えておきます。
イメージができたあとは、紙面にアウトプットをして具体的な運営方法を固めます。
2. 運営形式を決める
そろばん教室の運用形式は、「個人経営」と「フランチャイズ」の2種類に分けることができます。
個人塾は開業から指導方針まで、経営に関わるさまざまな内容を自分で決められるメリットがあります。
しかし、十分な集客ができなかったり、指導力が不足していたりすると収益を上げにくいといったリスクを抱えています。
フランチャイズは本部の指導ノウハウやブランドを借りた集客ができるため、開業直後から生徒を集めやすい特徴があります。
一方、本部の指導方針に則る必要があるほか、ロイヤリティを支払わなければならない点には注意しましょう。
3. リサーチを行う
ターゲットとなる生徒を多く集めて、収益を上げるためには開業地に関するさまざまな情報を仕入れる必要があります。
下記、開業地をリサーチする際に押さえておくべきポイントです。
・戸数、世帯数
・交通量、アクセス状況
・競合となるそろばん教室の数、授業内容
・地域の決まり事、ローカルルール
・賃料 など
これらをリサーチして、開業に向いている場所を探しましょう。
4. 開業地を検討する
開業地は、そろばん教室の収益に大きく左右する要因であり、簡単には変更できないため慎重に選ばなければなりません。
自宅で開業すると賃料などが発生せず、家の設備を利用することができるため開業資金を抑えられるメリットがあります。
一方、仕事とプライベートの区別が難しかったり、一定の広さが必要となったりする点には注意が必要です。
テナントを借りる場合は賃料が発生しますが、立地が良い場所を選ぶことで多くの生徒を集めやすくなります。
ただし、敷金や礼金、設備代など、多くの初期費用が必要となるため資本が少ない方には不向きだといえます。
5. 備品を購入する
一見、そろばん教室はそろばんさえあればすぐに開業できると思われがちですが、下記のようにさまざまな備品が必要です。
・黒板、ホワイトボード
・イス、机
・教材
・文房具類
・その他、衛生用品 など
フランチャイズの場合はあらかじめ決まっていたり、本部が用意してくれたりするため、事前に確認しておきましょう。
また、そろばん教室の講師が出退勤を管理しやすいように、入退勤システムを採用する教室が多くあります。
6. 開業直前から集客を行う
イメージを固めている段階から、どのような生徒を集めたいかが決まっていることでしょう。
開業初月から収益を上げるために、開業する直前から集客を始めておくことをおすすめします。
集客方法にはチラシを巻く・ポスティングを行うといったアナログ形式のほか、ターゲットによってはWeb広告も有効です。
ターゲットを集客する際は、ターゲットに合った最適な集客方法を選択することが重要になります。
そろばん教室の形態と開業費用
そろばん教室の形態には、フランチャイズと個人経営の2種類が挙げられます。
こちらでは、それぞれの特徴と開業費用についてご紹介します。
フランチャイズ
フランチャイズとは、フランチャイザーと呼ばれる本部と加盟店が契約を締結し、加盟店がロイヤリティを支払うことで商標の使用が認められる形態を指します。
本部の指導ノウハウを学べるだけではなく、ブランド力を使った集客も可能であり、必要となるものも用意してもらえる点がメリットと言えます。
そのため、後述する個人経営よりも少ない初期費用で開業することができます。
一方、稼働時間や休業日といった設定が自由にできない点と、ロイヤリティを支払うため利益が減ってしまう点には注意が必要です。
個人経営
個人経営は経営者の自宅やテナント、必要となる資材を自分で用意し、教室を運営する形態です。
経営方針や稼働時間を自由に決めることができ、自分が思うような経営を行うことができるため、先述したフランチャイズよりも自由度が高いと言えます。
一方、フランチャイズと比べると集客や資材の購入などをすべて自分で行う必要があるため、初期費用が高額になります。
そろばん教室の安定経営のコツ
そろばん教室を安定して経営するためには、下記のポイントをおさえておきましょう。
書類をそろえる
そろばん教室を始めるためには、「開業届」や、事業を始める旨を報告する「事業開始申請書」が必要です。
また、従業員を雇用する際は給与支払事務所への「開設届出」も用意しましょう。
それぞれ、身分証や印鑑があれば手続きを進めることができます。
開業直前にバタバタしないよう、1ヶ月前あたりから各種書類を整理しておきましょう。
集客を行う
近年、教室への集客方法はチラシを使ったポスティングや街頭での配布だけではなく、インターネットを使用した方法も採用されています。
一般の方はWEBサイトなどで教室の詳細を確認することが多いため、そろばん教室を開業する際はWEBサイトも作成しておきましょう。
また、WEBサイトだけではなく、SNSやブログ、WEB広告を使用することも有効です。
おわりに
本記事では、そろばん教室の開業に必要なものをご紹介しました。
そろばん教室を開業するために資格は不要ですが、「珠算検定試験」や「暗算検定試験」といった試験で段位を取得しておいた方が集客や信頼度の向上につながります。
経営形態はフランチャイズと個人経営の2種類に分けられ、それぞれメリットとデメリットがあるため、ご自身に適した経営で運営しましょう。
早めに書類を整理し、効率良く集客を行うことで安定した経営を行いたいものです。
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